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2003年 1月 21日 (火)

まったく,“平成の大横綱”とは笑止千万である。私は約 10年このかた,貴乃花について“大横綱”はおろか“横綱”としての資質さえあるかどうか疑ってきた。いい機会だから今日はそのことを書いておこう。彼が現役引退したばかりの今書かないと,もう機会もないような気がするし。

ことは今を遡ることちょうど 10年に始まる。1993年に先代二子山親方(初代若乃花。今回現役引退した貴乃花の伯父。)が定年退職したことに伴い,二子山部屋は藤島部屋(当時の藤島親方は現在の二子山。当然ながら,先代の二子山とは兄弟である。)と合併して新二子山部屋となり,幕内力士のうち実に約 4分の1にあたる 10人が同部屋の所属となった(ちなみに,このとき新二子山親方はその“藤島”の年寄名跡(親方株)を他に譲ることなく保有したままだった。)。

周知のように大相撲本場所では同部屋の力士どうしは対戦しない。所属部屋の幕内力士が多ければ多いほど本場所が楽になるのは自明である。もちろん“同部屋不対戦”は二子山部屋だけに限られることではないが,問題はその数が圧倒的に多いことであり,また例えば,当時しばしば何人もの幕内上位陣を脅かしていた安芸乃島(現在も活躍中)のような実力派力士とも,同部屋ゆえ対戦せずに済むのである。これでは花田兄弟の出世は約束されたようなものだ。もちろん彼らの実力が皆無とまではいわないが,この要因は見逃せない。しかもその状況が“親方の定年退職→既存の他の部屋と合併”という,親方どうしが実の兄弟であるという事実をもってしても決して合理的とはいい難い人為的な取り決めによって作出されたものであるところが,何とも胡散臭いではないか ――例えば,二子山と藤島の名跡を両者で交換し,その際藤島となる(旧)二子山が引退するとき部屋付の別の親方(実際,後に独立するが荒磯がいた。)にその藤島の名跡を譲るなどして,合併することなく両部屋を存続させることも可能であったはずだが,そうしなかったのは将来花田兄弟それぞれに二子山と藤島の両方を継がせようなどといった目論見があったのだろう――。そのような状況の下で本場所において次々と勝ち星をあげる ――ここに実力があるといえようか。

また,品格という点でも私は疑義の目を持っている。自らは何も語らず,いい歳になってまで何かというと実父である二子山が出てきて弁明じみたことをいっていたのはいかにも情けない。別に「雄弁たれ」といっているのではない。かつての名力士にも(例えば旭富士など)寡黙な者はいた。しかし彼らにあっても朴訥とインタヴューの受け答えをする様はむしろ好感をさえ招く。他方貴乃花はこれとは異質で,まるでロクに喋れないから押し黙っているようである。ちなみにそれを象徴的に表す出来事として,かつて彼(確か当時はまだ“貴花田”だった。)は,宮沢喜一首相(当時)との懇談後に「お会いした感想は?」とマイクを向けられた際に(そんな質問をするワイドショーのリポーターも馬鹿だが。),「体が小さいのに総理をやっているのは凄い」などと,その辺の中学生にも劣るマヌケなコメントを残している(もっとも,このコメントは“相撲馬鹿”,すなわち自らの身体一つで相撲一筋に生きる者ならではのものとして好意的に捉えることも可能だが,それにしても…… である。)。

ついでにいえば,こと相撲に関してマス・メディアが腰抜けなのも相撲協会の圧力があるからだと仄聞するが,これも情けないことだ(メディアも協会も,だ。)。上記の“同部屋不対戦”や“合併”に対する批判もなかったわけではないのに,これがメディアで大きく採り上げられることはなく(せいぜい新聞の読者投稿欄の一意見として,くらいだった。)事実上封じられていた。多くのファンは冷静に見極めて判断するための視界を遮られ,花田兄弟の“活躍”を盲目的に喜ぶこととなる。2001年,貴乃花がかなりの深手を負ってまともに相撲が取れないのにノコノコと優勝決定戦の土俵に上がったのは,そうした舞台ができあがっていたからだといえる。あのとき勝ち負けいずれに転んでも損をするのは武蔵丸であり(勝てば「非情」と罵られただろう。),彼には負けるしかなかった。そんな茶番に 「感動した!」 などと易々といえるのも,そしてそれに歓声を上げるのもまったくお目出度いことだ。 結局のところ,花田一族の思惑,相撲協会の皮算用,メディアの利害という三者が一体となって結実した――それが“平成の大横綱”なのだろう。そしてそれが大相撲を決定的につまらなくしたのだ。

かつて私は,年老いた祖母と同居していたこともありこれにつきあって,またご当地北海道出身の力士が多く活躍していたこともあって,若い頃からテレビの相撲中継をよく見ていた。ファンだったのである。「憎らしいほど強い」とまでいわれた(真の)大横綱北の湖や千代の富士の活躍,またその「強い」千代の富士を寺尾が負かす場面などにしばしば興奮したものだ。そんな私を相撲から遠ざけていた元凶が一つなくなった今,どれ久しぶりに相撲中継でも見てみるか。

見たもの・聴いたもの

  • 白沢みきのモーニングTokyo 東京MXテレビ, 6:30~8:30)
  • BBC ワールド (ニュース) ちばテレビ, 8:30~9:00)
    貴乃花の提灯持ちしかしない他局の情報番組にウンザリしたので。
  • Star Trekディープ・スペース・ナイン ―第35話:自然回帰 フジテレビ, 20日 26:40~27:35 <録画>)
  • レールウェイストーリー ―特選! 日本の名列車-北海道 ちばテレビ, 20:00~20:55)
    この放送内容,以前にも ちばテレビ で見た覚えがある。というより忘れもしない,初めてこの番組を見たのがこの内容で,“世界の車窓から”(テレビ朝日。こちらはこれで味があるが。)とは一味も二味も違うマニアックで秀逸な番組があるもんだと思った次第だ。

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