2003年 6月 11日 (水)
ストラヴィンスキーのバレエ曲“春の祭典 (Le Sacre du Printemps)”は最も好きな楽曲の一つで,スコア(総譜)も持っているくらいなのだが,この曲についてかねてより気になっていることがある。
- (A)

- (B)

第一部 大地礼賛(L'Adoration de la terre)の最後の場面,地を這うような大太鼓の連打のクレッシェンドで始まる“大地の踊り (Danse de la terre)”(練習番号 72番,Boosey & Hawkes のスコアでいうと66頁)の 6~7小節目に,図の(A)のようなリズムが書かれている。
これを素直に読むと,上記譜例 1小節目の 2拍目と 3拍目は,2拍を 8分5連符で奏せよということになろう。しかしこれが,手持ちの CD で聴く限りほとんどすべての場合において,どうやら(B)のように,すなわち 1小節目の 2拍目が 8分2連(通常の 8分音符)で 3拍目が 8分3連符で奏されているようなのである。百聞は一見に如かず,否,百読は一聴に如かず。実際に二つほど演奏を聴いていただきたい。一つは作曲者ストラヴィンスキー自身の指揮によるもので,もう一つはストラヴィンスキー楽曲の演奏では定評のあるブーレーズの指揮による新録音である。それぞれの CD から前後含めて約 17秒ほど引用してあるが,問題の箇所は 6~7秒のあたりだ。RealPlayer と Windows Media Player のどちらによるも再生されるのは同じ MP3 ファイルで,64Kbps でエンコードしてあるためさほど音質はよくないが,件の点を判ずるにさしたる影響はないだろう。
- ストラヴィンスキー指揮・コロンビア交響楽団 (CBS Sony/25DC 5201)
- 1960年録音
- ブーレーズ指揮・クリーヴランド管弦楽団 (Grammophon/POCG-1611)
- 1991年録音
いかがだろう。やはりどちらも(B)のように聞こえないだろうか。果たして私が疑問に思うのは,(A)のように記譜されたものを(B)のように奏するのが音楽的に正しいのか否かである。もとより機械ではなく人間による演奏なのだから音の長さを正確に 5等分する必要などないのかもしれない。あるいは 5連符として記譜されているものについては,これを 2+3連符として演奏する慣行があるのかもしれない。しかし 2+3連符として奏せよというのであれば,最初から(B)のように記譜すればいいはずであって,わざわざ(A)としている意義はないのではなかろうか。
私は,音楽についてはあくまで趣味の領域を出ない素人であり,上記の点はその素人の一家言に過ぎない。また保有している音源もせいぜい 5種類であり,きちんと 5連符で演奏しているものを私が知らないだけなのかもしれない。しかし(少なくとも現段階では)どれを何度聴いても,この疑問が晴れずにモヤモヤとした気分になってしまうのだ。誰かこれを晴らしてはくれまいか。
見たもの・聴いたもの
- A Different Beat ― Gary Moore (CD: Victor: Castle/VICP-60921)
- Star Trek: ヴォイジャー ―第130話:遥か彼方からの声 (テレビ埼玉, 20:00~20:55)
- 水10! ―ワンナイ100回記念・1時間SP! (フジテレビ, 21:00~22:54)

