2007年 12月 28日 (金)
読んだ記事から
- 日経産業新聞 2007年12月27日 24面: 厚労省「偽サイト」騒動 - 検索サイト対策の不備露呈
すわ、サイバーテロか――。インターネットの検索サイト「グーグル」で「厚生労働省」と検索すると検索結果の最上位に海外の別サイトのアドレスが表示される“偽サイト”騒動が持ち上がった。表示順位を決めるグーグルの仕組みに起因した現象で、犯罪との関係は薄いとの見方が多い。この一件が浮き彫りにしたのは民間企業に比べて遅れている霞が関の検索サイト対策の必要性だ。
小川義也の署名がある記事。途中のくだりでは,グーグル日本法人の広報による説明(または釈明)も掲げられているが,執筆者は
「グーグルに非があるとも言い切れない」
として以下のように続ける。すなわち,「民間では検索サイトで消費者が企業名を検索した場合、上位に必ず正規のホームページのアドレスが表示されるようにする『SEO(検索エンジン最適化)』は常識。ところが厚労省を含む中央省庁のホームページでSEOを実施しているところはほとんどない」
と。私がかつて指摘した,地デジ推進コマーシャル の問題とも関連する(もっとも「地デジ」のほうは SEO の点においては当初よりマシになっているようである。ただし,検索を促す画面で覚えづらい言葉を示している点は変わらない。)。自分たち(役所)が特別で,他と区別するのは検索サービスの側がやって当然とでも思っているのだろうか。
私が担当授業の 「コンテンツ知的財産論」 でも説明しているとおり,文字情報と音声情報,出所による情報の軽重といったように,アナログであれば人間の五感で区別されるべきものも,デジタルにあっては区別されない。デジタルにおける情報の流通は,いわばことごとく等価平等なのだ。情報を発しているのが官公庁なのか,民間企業なのか,はた詐欺師なのかで区別しないのがデジタルの世界なのだ。情報発信者として自分たちをいまだに 「特別」 と認識していることは,この感覚が欠如しているか,またはずれていることを意味する。
しかしこのことは,私たち学問に携わる者にも言えることだ。デジタル情報が流通する今では,市井の人々も学術的情報を発信することができる。今やその中で自分たちを 「特別」 だと思っていてはいけないのだろう。だからこそ,自分の発信する情報に責任を持つという姿勢 が,よりいっそう重要なのだと思う。
見たもの・聴いたもの
- Lang ― Aus (CD: Preco Records / PRECO 002)
- Plans Drawn in Pencil ― Isan (CD: Morr Music / MM 068)
- The Catch & Spring Summer Autumn Winter ― I am Robot and Proud (CD: Darla Records / DRL181)
- Here are Your New Instructions ― Ticklish (CD: Textile / TCD5)
- ケージ: 二つの小品(1935) / メタモルフォーシス / バッカナール / 危険な夜 / トスト・アズ・イト・イズ・アントラブルド / 季節はずれのヴァレンタイン / ピンぼけの源 / 二つの小品(1946) / 瞑想への前奏曲 / マルセル・デュシャンのための音楽 / おもちゃのピアノのための組曲 / 夢 《 Cage: 2 Pieces (1935) / Metamorphosis / Bacchanale / The Perilous Night / Tossed as it is Untroubled / A Valentine out of Season / Root of an Unfocus / 2 Pieces (1946) / Prelude for Meditation / Music for Marcel Duchamp / Suite for Toy Piano / Dream 》 ― Kirstein (prepared-p, p, toy-p) (CD: Sony Classical / SICC 76, 77)
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