2008年 8月 29日 (金)
実は先週から今日まで妻が帰省していてしばらく独り暮らしだったのだ。
読んだ記事から
- 朝日新聞 2008年8月28日 28面: 私の視点 - CD不況 復活はレコード会社の役目
ポニーキャニオン会長で前日本レコード協会会長でもある佐藤修氏の寄稿。趣旨は上記タイトルどおりなのだけど,ザッと要約すると,(音楽)CD が売れない理由に価格やコピープロテクトを挙げるのは誤解だ,「CD は古く,これからはネットだ」というが,音楽ネット配信の実体〔関堂注:「実態」の誤記だろう〕は成功していない,ということのようだ。それに続く結論への導入部分での,以下のくだりに思わず目を剥いた。
音楽の流通方法がどう変わろうと、レコード会社が新人を発掘し、育て、売るという役割は変わらない。
なんとう傲慢さだろう! 津田大介氏が 2004年に上梓した著書 『だれが「音楽」を殺すのか?』 のセンセーショナルなタイトルの矛先が自分らにも向けられていることは想像に難くないのに,いまだにどこ吹く風とは。
今やユーザー(リスナー)は,レコード会社を特別な存在と見ていないことを知るべし。というか元来そういうものなのだ。人が音楽と出会う場面はさまざま――テレビ等で流れ,あるいは友人が唄うのを聴いたりして出会う。そしてその音楽を得たい,所有したいと思ったとき,従来はたまたまレコード会社が提供する記録媒体を手に入れるしかなかっただけのことなのだ。今では,それは選択肢の一つでしかない。
実際のクリエイターであるミュージシャンの一部にもそれに気づき始めている人はいる。CD に頼らずネット配信するのを,佐藤氏は屁とも思っていないような書き方をしているが,これも誤り。レコード会社が大きな利益を上げるのは,そこにそれだけの投下資本があるからだ。
「発掘し、育て、売る」
というたいそうな「役割」
に金がかかるのだからそれを回収しようというのは当たり前。逆に投下資本が小さければ回収する額が小さくても十分な利益となる。むしろレコード会社やメディアに搾取されることもないから,かえって実入りが多くなることさえあろう。そしてそれがさらにはクリエイター自身のもっと大きな精神的利益にもなりうる。投資回収だけにしか目がいかないから,そこは見えていない。お粗末な話だ。上記の津田氏は,先般 iSummit でお会いした際の雑談等でさかんに “従来メディア” という表現を用いていた。それは,既得権とか利権にしがみつく醜さを象徴し,印象づける言葉として私には感じられたが,その “従来メディア” の意識というものを今回の寄稿で改めて見せつけられたように思う。
百歩譲って理解できないわけでない,というかある意味納得できるのが,前記引用部分に続く
「私はサザンオールスターズがデビューした時の担当者だった」
という部分。ノスタルジィ!(笑)……しかし今のご時世,御社の若い社員に 「オレがサザンを担当していた頃はなぁ」 なんて話をしても,シラけるだけじゃありませんかね?会長さん。
ビジネス・ニュース・クリップ
- 日経産業 2面: に・よん・ななの音楽配信 譲渡優先交渉権クエイクが落札
- 日経産業 4面: 「IE8」試験提供 - マイクロソフト・翻訳操作簡単に
- 日経産業 1面: “写 Day” 隣のテレビが厚く見えます - ソニー、液晶で最薄9.9ミリ
見たもの・聴いたもの
- Automata ― Artificial Life Preserver (Online: Psymbolic Sounds / 4438c1cfa351b6ec45fc86a3c7b501a3)
- Lang Remixed ― Aus (CD: Preco Records / PRECO 004)
- Something Borrowed, Something Blue ― Deadbeat (Online: Digital Tunes: ~scape / sc21cd)
- Livefields ― Toto (CD: SME Records / SRCS 2136, 37)
- 2 : Reissued as 1, 2, 3 ― Pole (CD: Indigo: ~scape / sc54cd : Disc 2)
- 探偵!ナイトスクープ ―美人ニューハーフの家は汚いか▽結婚式でバレエを踊る新郎新婦▽謎の子守歌 (ABCテレビ, 23:17~24:12)
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