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2009年 8月 6日 (木)

私の学部時代の恩師・清水幸雄先生(現・清和大教授)とのとある会話を最近思い出すことが多くなった。その会話は,授業やゼミの時間内でなされたものでないことだけは確かだが,毎週行っていた飲み会の席だったか,あるいは飲み会後に駅に向かって歩いている中での会話だったか,私以外に聞いていた者があったかどうかも,よく覚えてはいない。そもそも,私がまだ学部生の時だったか大学院に進学してからのことだったかもよく覚えていないが,確かカラオケが音の伴奏だけでなく映像(歌詞)も伴って供給されるのがごく一般的になってきてからの話だったと記憶している。

先生の言葉の趣旨は確かこうだった。「普通,商品や役務というのは数や種類がまとまると単価を下げてお客さん向けサービスするのが一般的なのに,著作権料はそうではない。生ビールはグラスよりも中ジョッキ,中ジョッキよりも大ジョッキと,量が増えれば一定量あたりの値段は安くなるし,レストランもセットメニューにすれば各品の合計金額より安くなる。しかし,JASRAC の定める使用料は合算が基本で,近年使用料収入が増えてきているにもかかわらず単価の設定は変わらない。そろそろ“割引き”という考え方を導入してもいいんじゃないかなと思うけどね。」

もしかするとこれは与太話としての発言だったかもしれない。しかし最近私は,あながち冗談でもないなと思うのだ。7月1日付 日経産業 4面のコラムにおける今野敏博レコチョク社長による,配信とパッケージ(CD)を消費者が併せて買えばレコード会社の収益拡大になるという趣旨の発言などに接するにつけ,上記の師の言葉が思い出される。要するに,同じコンテンツ(内容)の音楽でも,配信は配信で利益を,CD はまた CD で利益を得られるということを,現在の権利者は疑うことなく当然としているのだ。

著作権法では,著作物の利用態様によって「支分権」が定められていて,その利用態様ごとに権利が働くという仕組みになっている。「複製」という利用については「複製権」が,「演奏」という利用には「演奏権」,「公衆送信」には「公衆送信権」が,というようにだ。同じ知的財産である特許の制度では,「実施」という概念の中に「(物の)生産」「使用」「譲渡」など一切合切が含まれていて,しかして権利が働くのはこの「実施」に対してであるのに,それと比べると著作権制度の「支分権」という考え方はずいぶん異なっている。著作権に関する権利者が前述のように“上乗せ”で考えていこうとするのは,こうした法律制度の裏付けがあればこそではないか。

だがあえて提唱したい,私の師のように。支分権がまとまったり,分量が増えたら“割引き”してはどうか。誤解を恐れずもっとラジカルに言えば,「支分権」ではなく,「コンテンツの利用」(この「利用」には「複製」も「演奏」も「公衆送信」も含まれる)単位で料金を設定するのはどうだろう。要するに,“支分権頼み”の現在のビジネス・スキームを見直してはどうかと思うのだ。著作物あたりの単価を上げることになるとしても,検討の余地はあろう。今の関係業界を見るに絵空事とも思えるが,こうなるとコンテンツ・ビジネスはもっとダイナミックに展開されるだろうし,何より著作物という文化的所産のユーザー(消費者)に対する恩恵が,今とは比べものにならないほど大きくなると思うのだが……。


晩,打ち合わせを兼ねて飲み。

ビジネス・ニュース・クリップ

  • 日経産業 1面: [Data Focus] 「自分色」携帯 - 携帯コンテンツ市場の成長率
    「アバター」や「きせかえ」など,携帯コンテンツ市場における新しいサービスが急速に成長しているとのこと。
  • 日経産業 5面: [点検シェア攻防・本社調査] 家庭用ゲームソフト バンダイナムコ2位浮上
  • 日経産業 5面: [点検シェア攻防・本社調査] 家庭用ゲーム機 任天堂伸び悩み、10ポイント低下
  • 日経産業 1面: KDDI携帯端末 30分動画送受信赤外線で一瞬 - 半導体レーザー採用 速度250倍

見たもの・聴いたもの

  • Live at WoodstockJimi Hendrix / Gypsy Sun & Rainbows CD: Universal: Experience Hendrix / MVCZ-10042, 43)
  • The Very Best of the EaglesEagles CD: Elektra / 9548-32375-2)
  • Jazz in the HouseEivissa Progressive OnlineDigital Tunes: Laka-Tosh-Music / LAKDC032)
  • VoileJello CD: Peacefrog / 6 89781 20162 4)
  • The PianoMichael Nyman CD: Virgin Records / 0777 7 88274 2 9)
    この CD,炭火焼肉たむらの隣のビルに入っていた店で中古で購入したのだけど,その店も潰れて久しいな。まだ空きビルのままのようだが。

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この記事へのコメント [2件]

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Y.Masano
Posted on 2009-08-07, 00:04:46 JST

清水先生はお元気でいて欲しいと思います。

それほど多くは接しなくても、あの人の器の大きさや「教える」とか「伝える」という姿勢は尊敬しています。学生としては記憶に残る先生でした。(こちらが先生の記憶に残っていたかは別として。)

懐かしいな、清水先生。卒業後もせきどー君のおかけでお会いできて(飲みに行けて)嬉しかったです。 あまり関係ないけれど、10月か11月に夏休みを取ろうかと思ってます。大阪まで飲みにいこうか?(笑)

関堂幸輔
Posted on 2009-08-23, 05:56:20 JST

ご返事が遅くなって申し訳ない!

僕は,高校まででもずいぶん面白い先生に出会ってきたけど,やはり大学での先生はひときわ魅力的な方がいましたよね。それぞれに深くて,いい味を出しておられた。清水先生も,「授業では言えないが」などと酒の席でずいぶん興味深い話をして下さった。

最近の先生は,お年を召したせいもあるのでしょう,我々教え子の前に顔を出すことがなくなってしまいましたが,とりあえずは息災だと仄聞します。ま,こんなことを公に書いて引きずり出したいな,などとも思うのですが(笑)。

それはそうと,大阪にいらっしゃるのなら是非お会いしましょう!


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