2009年 11月 19日 (木)
授業などで学生に,最近のウェブ・コンテンツ・サービスとして Twitter や Tumblr を紹介することが多くなってきた。Tumblr は,実は 私もアカウントを持っていて使っている のだが,ブログや Twitter との棲み分けが下手なのか,なんとなく持て余しているのが実際だ。そんな中でたまたま先日,Tumblr で面白い出来事があったので,メモがてら書き留めておこう。
ご贔屓の方にはご存知のように,このブログの 11月 12日付記事 で以下のようなことを書いた。
学生の大半が,“Twitter” のことを知らないし「ミニブログ」や「マイクロブログ」と言っても理解できないのに,「ミクシィ・ボイスの元ネタ」というとほとんど瞬時に理解するのに少々驚く。
これは文字どおり,普段の授業やゼミの中で学生とやりとりしている際のことをそれとなく綴っただけの内容だ。しかしこれを投稿して程なく,shiraist こと 末廣恒夫さんがこれを ご自身の Tumblr に 掲載したのだ(この段階でまだ私は,自分の書いたものが転載されていたことは気づかなかった)。そしてそれが,tsuda こと 津田大介さんの Tumblr によって Reblog(リブログ)されて,それがさらに次々と他のユーザーによって Reblog されて瞬く間に広まっていったらしい(私が気づいたのは元の記事を投稿した翌日,ブログへのアクセス数が急に増えていたため)。
この Reblog や Twitter での ReTweet は,要するに他人の供した情報を自分がさらに投稿(転載)することなのだが,Tumblr にしろ Twitter にしろ,それぞれ “Dashboard” および “Timeline” という概念,そしていずれも follow という仕組みを持っていること,すなわち,最初に表示されるこれらのページにおいては自分自身および自分の follow しているユーザーの発言・記事が時系列に表示される(ユーザーごとに表示される内容は変わる)というところがまた,Reblog や ReTweet の面白さを際立たせている,と私は思う。
つまりだ――私のブログの記事は当該ブログをよく読んでいる人しか目にしないだろう。しかし,これが shiraist,tsuda の両氏の Tumblr に掲載されることで,彼らを follow しているユーザーが当該記事を目にする。そしてそれを「面白い」などと感じたユーザーが次々に Reblog して,さらにこれを目にする人は増えていく,というわけだ。
ところで,Tumblr にはユーザーごとに “Tumblarity” という値がある。どうやらこれはそのユーザーの Tumblr の価値や重要性を表す数値のようで,follower や投稿数,そして自分の記事への Reblog が増えていくことでこの値も増すらしい。shiraist 氏の Tumblarity がいかほどか私は知る由もないが(もっとも,氏は常日頃からブログや Twitter と同様,Tumblr も積極的に使いこなしておられ――持て余している私とは大違い――,その点でももともと値は高いのだろうけど),私自身の Tumblarity が低いままであることにつき,正直 shiraist 氏を恨めしいと思う瞬間があった。けだし,元々私が書いた文章なのだから私が得て然るべき数値があるはずだと思ったのだ。
しかしそんなつまらない考えなどすぐに吹き飛んだ。むしろこれが面白いんじゃないか!と。もともと私は自分のブログを CC ライセンスで提供しているのだし,また Tumblr に転載された記事にはちゃんと出典としての私のブログ記事へのリンクもある。そして何より,私の何気ない一言が多くの人の目に触れ,少なからず興味を持ってくれてその反応を示してくれるその様子が,ほとんどリアルタイムに臨場感を持って感じられ,むしろ私は少々興奮すらした。従来のメディアでは考えられないような情報の伝播だ。
同時に,上記のつまらない考え,すなわち私にも何らかの利益・価値がもたらされて然るべきという考えから脱しない以上は,この興奮は味わえないだろうとも思った。しかしてその「考え」こそは著作権にほかならない,とも。私が今般の件で shiraist 氏に著作権侵害責任を問うことは可能かもしれない(実際,私が CC を掲げつつそんな争訟でもしたらそれこそ禁反言だろうけど)。しかしもしそうしていたら,あの一言は 200人またはそれ以上の人々の目に触れることもなかったのかもしれないのだ(この数字の根拠は,当該記事の note,すなわち Reblog や Like の数値が 2009-11-19T18:00:53+09:00 の時点で 192 であったゆえ)。
誤解しないでいただきたいが,何も著作権行使を馬鹿げたことだと言っているのではない。ただ,こういう面白さ,興奮させる何かというのも,その裏腹にあるのだということ。情報発信とその手段が万人の手にするものとなった今だからこそ,この興奮を是非味わって理解してほしいし,その上で創作表現の保護の在り方を考えるのは,決して奇妙奇天烈なことではないはずだ。
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見たもの・聴いたもの
- Casanova Lounge ― V.A. (Online: Digital Tunes: Diventa Recordings / DVM019)
- Compost 100 ― V.A. (CD: Compost Records / Compost 100-2)
- Techno Bible ― Yellow Magic Orchestra (CD: Alfa Records / ALCA-371~74, H12-19: Discs 1 & 2)
- Joe's XMasage ― Frank Zappa (CD: MSI: VAULTernative / VR 20051)
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ちょうど今『コンテンツ知的財産論』(仮題)という書籍を執筆しているので,こういう内容も盛り込みたいと思っています。