かなり久しぶりの更新になってしまい面目ない。書こうと思っているものの、なかなか筆が進まないもので……
さて本題。「使わないから」という理由で2022年12月に Amazon Music Unlimited を解約して以来、音楽のサブスクリプションとは無縁の状態が続いていたが、雑誌の記事等で紹介されていた楽曲やアーティストの作品をちょっと聴いてみたいというときに、やはりサブスクリプションがあったほうが便利な気もしていた。YouTube 等の無償のリソースを探すのは骨が折れる(ゴミのような情報があまりにも多くて検索の質が落ちているのももちろんある)し、音源をダウンロード販売しているサイトでのせいぜい1分程度の試聴では物足りない……かといって楽曲やアルバムを即座にダウンロード購入するわけでもないという場合に、サブスクリプションを頼りたい気持ちが生ずる。
ところで、Amazon Music Unlimited を解約した大きな要因は、以前述べたように①洋楽のカタカナ表記が耐え難い、②自分の音楽ログとしての Last.fm との連携がうまくできない(前記①のカタカナ表記とも関係する)、そして③作品(アルバム)一覧が使いづらい、というものだった。
他方前記のような目的・理由から音楽サブスクリプションへの興味が再燃し始めていろいろ自分で調べたところ、上記①のカタカナ問題は、どうやら Spotify(スポティファイ)では解決できるらしいということがわかった。
すなわち、Spotify のアプリケーションで言語を「英語」などに設定すればよい、ということだ。iPhone(iOS デバイス)では「設定」においてアプリケーションごとに言語が選べるのでそこで、Windows ではアプリケーション内の設定で言語を選択することができる。そうすると、アプリケーション上ではカタカナで表示されるものもあるが、Last.fm への投稿(scrobble)ではちゃんと欧文字表記になっている。それならばとりあえず「耐え難い」ほどではない。ちなみに Last.fm への投稿はすこぶる簡単で、Spotify のアプリケーション(またはウェブ)上で Last.fm への連携を設定(Last.fm のサイトが開き、Spotify の連携を許可するか尋ねられるので許可)するだけだ。これで Spotify で聴いた楽曲は自動的に scrobble される。
また Spotify では、PC のアプリケーションでもスマートフォンのそれでも、検索や一覧がしやすくなっている。とりわけアーティスト名で検索して特定のアーティストを表示した際に、“Popular releases” から “See discography” を辿ることによって、公式アルバムがちゃんと年代順(新しいものが上。もっともリマスター作品などは新リリース扱いで新しいものとして上のほうに表示されることもあるようだ。)に並んでいる。これは Amazon とは大違いだ。それゆえ関堂は、去る9月21日から Spotify の1カ月間の無料試用を開始し、10月以降は Premium Standard で継続することとして利用し続けている。Spotify の弱点は周知のとおり「音質」で、せめて CD 同等(44.1kHz/16bit)の可逆圧縮であればとも思うが、冒頭に述べたような「ある楽曲・作品を買うまでもないが聴いてみたい」という目的上は耐え難いほどではない(むしろ洋楽カタカナ表記のほうがよほど耐え難い)。
こうして関堂の音楽サブスクリプション生活は復活したのだが、ほどなくしてさらに動きがあった。Qobuz(コバズ)がいよいよサービスを開始するという。
Qobuz はフランス発祥の高音質ダウンロード&ストリーミング音楽プラットフォームで、その運営を手掛ける Xandrie S.A. が日本におけるオンキヨー(株)の e-onkyo music 事業を取得したことで、日本でのサービス展開が実現した、という訳だ。実は Qobuz を巡っては、2021年10月にはすでに事業承継がなされいったん昨年(2023年)12月にサービス開始との報せがあったがどういう理由からか延期となっていたところ、とうとう満を持して今年の7月半ばより e-onkyo からのサービス移行、10月23日にプレオープンという運びとなった。
関堂はプレオープン当初は静観(e-onkyo 時代の音源の再ダウンロード等も必要なかったので)していてサブスクリプションのストリーミングはあまり使う気がなかったが、どのみち1カ月の無料試用期間も設けられていることだし、ダメならやめればよかろうとのことでストリーミング・サービスの登録もしてみた。
しかして、なるほど確かに音はよい。PC のアプリケーションから DAC 経由でちゃんと 192kHz/24bit の再生もできる。スマートフォンから DAC 経由でのハイレゾ再生はしていない(スマートフォンからはもっぱら Bluetooth イヤホンで聴く)が、スマートフォン・アプリのインターフェイス等はそれなりにしっかりしていそうだ。それぞれアプリケーション内で言語設定ができ、それを英語にすることで、Spotify 同様(アプリケーション上でのカタカナ表記は残ることはあるが)Last.fm への scrobble ではちゃんと欧文字になっている。また Last.fm とのアカウント連携も Spotify 同様至極簡単だ。ブラウザー拡張機能等が不要な点は大変よい。
Qobuz の弱点は、高音質ゆえそれだけ扱うデータ量が増え、通信に負担がかかる点だ。スマートフォンのモバイルデータ通信では、MVNO 回線を利用している関堂の環境では、最高音質だと途切れがちになってしまう。また PC のサウンドカード等のハードウェアがハイレゾに対応していない場合は、音が出せないことはないが、せっかくの高音質を活かせなかったり、出力の設定が難しかったりということがあろう。
また、Spotify が多様なデバイスやプラットフォームに対応して、なおかつそれらの間でスムーズに連携できるという大きな利点があるのに対し、Qobuz はその点でいま一歩だ。例えば Spotify には Amazon Fire TV Stick 向けのアプリケーションがあるのに対し、Qobuz のそれはまだない(もしかしたら日本向けにないだけかもしれない)。さらに、Spotify では同一アカウントで使用している複数デバイス上のアプリケーション同士で連携が取れるようになっている。すなわち、PC(Windows)の Spotify アプリケーションで再生しているときにスマートフォン上の Spotify アプリケーションを開くと、PC で再生している旨の表示がなされ、しかもその操作までできるようになっている。これは非常に便利だ。
他方 Qobuz では、実際に Windows のアプリケーションで Qobuz を聴いている際にたまたまスマートフォン・アプリを誤って操作してしまったところ、「現在 PC でアプリケーションが動作しているので操作できません」というようなメッセージが表示されてしまった。これは前記の Spotify と比較するとすこぶる残念な仕様だ。是非この点は改善してほしい。
さらにもう一点 Qobuz での問題点は Last.fm への scrobble においてだ。通常 scrobble は楽曲(トラック)の半分以上または一定時間(約3分)の再生によりなされるのだが、どうやら Qobuz では一瞬でも再生されるとそのトラックは Last.fm にscrobble されてしまうらしい。すなわち、例えばある楽曲を Qobuz で再生している際に途中でいったん停止し、そこからまた再生を再開すると同じ楽曲が2回 scrobble されてしまうのだ(もちろん同様の操作を繰り返すと scrobble も3回、4回となってしまう)。通信環境等により再生がいったん途切れたような場合も同様に scrobble が重複してしまう。これは Qobuz の側でなんとかしてほしいと思う。
そういう次第で、いまのところは Spotify と Qobuz との二刀流になっている。ライブラリー(取扱楽曲数)の充実度はそれほど差がない(スマートフォンの Qobuz アプリのレビューではさかんに「日本の曲が少ない」などと書かれているが、関堂にはほとんど関係ない。他方 Spotify のプレイリスト押しつけ機能もまず使わない)と思われるところ、使い勝手という点では前者が、他方やはり音質という点では後者がそれぞれ優位で、どちらも棄て難いところだ。二つのサブスクリプションで1カ月合計が約3,000円……そのぶん CD やダウンロード音楽データの購入が減ると考えると、さほど高いとは言えないかもしれない(まあ Zappa の蔵出し音源はこれからも買っちゃうんだろうけど)。