Rainbow “Monsters Of Rock Live At Donington 1980”

投稿者: | 2022-09-12
Rainbow “Monsters Of Rock Live At Donington 1980”

基本データ

アーティスト:
Rainbow
タイトル:
Monsters Of Rock Live At Donington 1980
レーベル:
Eagle Rock / Ward Records
リリース年:
2016年4月15日

レビュー

  • 音質  ★★★★★☆☆☆☆☆ (5)
  • 曲目  ★★★★★★★★☆☆ (8)
  • 演奏  ★★★★★★★★☆☆ (8)
  • 雰囲気 ★★★★★★★★★☆ (9)

Ritchie Blackmore(リッチー・ブラックモア)がかつて率いたブリティッシュ・ハードロック・バンド Rainbow(レインボウ)の、1980年8月16日にイングランドのレスターシャーにあるドニントン・パークで行われた第1回 “Monsters Of Rock” フェスティヴァルでの公演を収めた作品である。当時 NWOBHM(New Wave Of British Heavy Metal)と称されたムーヴメントの中でその中心的存在であった Rainbow は、よく知られるようにたびたびメンバー交代を繰り返していたが、この時は Blackmore のほかヴォーカルに Graham Bonnet(グラハム・ボネット)、キーボードに Don Airey(ドン・エイリー)、ベースに Roger Glover(ロジャー・グローヴァ―)そしてドラムスに Cozy Powell(コーズィー・パウエル)という布陣だった。この公演を最後に Powell は脱退、さらにその後すぐ Bonnet もグループを去ることになり、この顔ぶれでのライヴ盤はほかにはない。

この第1回 Monsters Of Rock は、レコード会社 Polydor(現 Universal Music)がバックアップしていたこともあり、もともと商品化が予定されていたもので、現に1980年当時すぐにオムニバス・ライヴ・アルバムとしてレコードが発売されていた。関堂はこの時のレコードを、友人から借りたカセットテープで聴いた記憶がある。Rainbow の出番で当該アルバムに収録されていたのは “Stargazer” と “All Night Long” だけであったが、どちらも強烈な印象だった。とりわけ “Stargazer” は、Rainbow の2枚目のアルバム “Rainbow Rising”(1976年)に収録されていた楽曲で、当時のヴォーカル Ronnie James Dio(ロニー・ジェイムズ・ディオ)に誂えて作られたかのような朗々とした8分超にも及ぶ曲なのだが、本作での Bonnet もまた彼の持ち味を十分に聴かせる名演になっている。また Blackmore のギター・ソロも、曲の神秘的・魔術的な雰囲気をよりいっそう引き立てて素晴らしい。

上記2曲以外のこの公演での音源の存在は長らく囁かれ、海賊盤なども出回っていたようだが、ようやく36年もの時を経てほぼ完全な形(2曲のみ欠落)でまとめられたのが本作である。フェスティヴァルでのメイン・アクトの公演を丸ごと収録しているだけあって、観客の雰囲気も最高潮に盛り上がっているのがわかる。終盤で Blackmore が(例によって)ギターを破壊する様子もバッチリだ。

曲目は、これまでの Rainbow(Dio 在籍時)のスタジオ盤3作品と Bonnet が唯一参加した “Down To Earth”(1979年)からのものが中心だが、1970年代に名を馳せたハードロック・バンド Led Zeppelin そして Blackmore がかつて在籍していた Deep Purple がそうだったように、単にスタジオ盤での曲を再現するにとどまらず、各人のソロやインプロヴィゼイションを交えた長尺曲やメドレーにするなど、ライヴならではの演奏になっている。前述した “Stargazer” 以外に目(耳)を惹くのは、“Difficult To Cure” だろう。同曲は有名な Beethoven の第9交響曲のフレーズをアレンジしたもので、のちに1981年の同名のアルバムにスタジオ版が収録されるのだが、この頃からライヴでは演奏していたのだということがわかる。

本作の音源(一部映像もあって日本の初回限定盤には DVD も付属している)は BBC によるものらしいが、残念ながら音質はあまりよくない。帯域は55Hz付近のピークを中心にそれなりに迫力はあるものの、ダイナミック・レンジはアルバム平均で5と低い。また音の分離も悪く、こんもりした印象だ。ただしこの時代のハードロック/ヘヴィメタルのサウンドとしては、これが標準的な音作りであるとも言え、そういう意味では及第点の音だろう。

“Stargazer” の WaveSpectra
“Stargazer” の WaveSpectra

先述したように、高校時代に本作の一部に初めて接した時の衝撃もあいまって、関堂は本作を NWOBHM ムーヴメントにおけるライヴ盤の最高傑作の一つであると評したい。いまどき音楽を愉しむ人々は、ギターやその他の楽器のソロ・パートを含む長尺の楽曲を好まない傾向にあると仄聞するところ、そうした人々には退屈なシロモノでしかないかもしれないが、往年のロック、とりわけハードロックを懐かしむ人をしてワクワクさせるであろうことは間違いない。

音楽鑑賞環境

投稿者: | 2022-09-07

このブログでは特に音楽について一家言を展開しているところ、読み手のみなさんにおかれては、関堂がどんな環境・システムで音楽を聴いているのか、と思われる方がいるかもしれない。音楽の演奏は中学以来ずっとアマチュアで、リスナーとしても、機材等に7桁や8桁の金額を注ぐような立派な “オーディオファイル(audiophile)” からはほど遠いと自認しているが、それなりにこだわりを持って揃えているつもりだ。ここでは関堂の音楽鑑賞システムを、憚りながら披瀝する。

AV システム全景
AV システム全景(サラウンド・スピーカーを除く)

まずは自宅のオーディオ・システムだ(2022年9月現在。写真とは異なるものもある)。これらはいずれもリビング・スペースに設置してあり、ホーム・シアターやビデオゲームの実行環境も兼ねている。

  • CD プレーヤー/DAC: Denon DCD SX-1
  • Blu-ray レコーダー/プレーヤー: Panasonic Diga DMR-UX7050
  • デジタルデータ・プレーヤー(PC): Vaio S11
  • デジタルデータ・プレーヤー(デバイス): Apple iPhone 12 mini
  • マルチチャンネル・アンプ: Onkyo TX-NR929
  • メイン・スピーカー: KEF Q900 V
  • センター・スピーカー: KEF Q200c
  • サラウンド・スピーカー: Fujitsu Ten(現 Denso TenEclipse TD307Mk2
  • サブウーファー: Fostex CW250B
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天井に備え付けてあるサラウンド・スピーカー

サラウンド・スピーカーの Eclipse TD307Mk2 は、視聴位置(ソファ)のやや後方天井に設置してあり、そこへのケーブルは天井裏を這わせてある。アンプ TX-NR929 の設定でサラウンド・スピーカーを「フルレンジ」にすると TD307Mk2 の低音が過大入力となりボコボコしてしまうので、ローカットしてある。またサブウーファーの CW250B は、見てのとおり左右に2発使っており、TX-NR929 のウーファー出力ではなくそれぞれ左右のプリ・アウトから繋いでいる。

CD プレーヤー Denon DCD SX-1 では、CD または SACD といったディスクを再生することはほとんどない。PC または iPhone を USB で接続して DAC として使う。PC からの USB 接続にあっては、PCM では 192kHz/24bit まで、DSD では 5.6MHz まで対応している。PC の Vaio S11 には別途 5TB のハードディスクを接続しており、そこにハイレゾおよびロスレス(ALAC)の音源データを保管してある(このほかに同内容のバックアップ・ディスクが二つある)。

48kHz/24bit を超えるハイレゾ音源データは、そのままでは iTunes や iPhone のライブラリーでは扱えないので、そのようなデータは 48kHz/24bit または 44.1kHz/24bit の ALAC(ロスレス)に変換して上記ライブラリーに入れてある。CD の音源は、もちろん 44.1kHz/16bit のロスレス・データにする。2022年9月現在、関堂の iTunes のライブラリーにはアルバムが1200作品以上あって、その容量は700GB近くある。当然ながら iPhone にすべて入れて同期することは不可能なので、数十GB程度のデータをその時々で入れ替えている。

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PC から DCD-SX1 を介して 96kHz/24bit のハイレゾ音源を再生

上記の自宅オーディオ・システム以外に、通勤や移動の際にはイヤフォンを使う。Sennheiser(ゼンハイザー)の完全ワイヤレスイヤフォン Momentum True Wireless は初号機が出た時から使っていて、2022年5月に Momentum True Wireless 3 が出てからはもっぱらそれだ。同じ Sennheiser ではヘッドフォンも二つ持っている(Momentum WirelessPXC 550)が、汗かきなのとマスクの影響を受けにくいことから完全ワイヤレスイヤフォンのほうをついつい使ってしまう。ヘッドフォンは、自宅でよほどしっかり音楽を聴きたいとき(クラシックの楽曲など)に使うことがある。

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Sennheiser Momentum True Wireless 3
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Sennheiser のヘッドフォンは二つ持っている

さらに、自宅でもデスクワークをしている際や入浴中などには、Bluetooth ポータブル・スピーカー Sony SRS-XB23 で音楽を流しておくこともある(再生はほとんど iPhone で行う)。またこの SRS-XB23 は、旅行や出張の際に持っていって宿泊先で音楽を聴くのにも用いる。

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Sony SRS-XB23

またこれらのほかに、職場である大学の研究室にも音楽再生環境を作ってある。すなわち、自宅にあるのと同内容のライブラリーを収納したハードディスクからデスクトップ PC で音楽を再生し、月刊誌 “ステレオ” の付録にあった Luxman のアンプ LXA-OT3 経由で、やはり “ステレオ” 別冊の付録であったスピーカー Onkyo OM-OF101 に出力して、事務作業等をしながら聴いている(音楽を再生したまま教室に授業に出てしまうこともしばしばだが)。手前味噌で恐縮だが、遠慮がちに言っても「音楽漬け」の生活をしているのだ(関堂の聴いている音楽は Last.fm のプロフィール を参照されたい)。

そういう次第なので、このブログを通しての関堂の戯れ言を多少大目に見ていただき、これにおつきあいいただきたいと願います。もちろん、紹介した音楽のご意見・ご感想をコメントでお寄せいただくことは、大いに歓迎します。よろしくお願いします。

AirTag 活用法は?

投稿者: | 2022-08-29
購入した AirTag

今年は久しぶりに、8月8日から22日まで札幌に帰省したのだが、その札幌滞在中に Apple のデバイス AirTag を一つ購入した。AirTag は最初に発売されたのが2021年春なのでそれからすでに1年以上経つ。その当初は、自分としては特に使い途も思いつかず、さして興味も惹かれず、まったく購入する気はなかったのだが、今般あることをきっかけに俄然使ってみたくなった。まずはその動機を紹介しよう。

帰省するに当たり、多くの人が同様にすると思うのだが、事前に着替え等を実家に宅配便で送る。今回もそうしようと、8日の帰省に合わせて5日に発送手続きをした。ただ、その週の前半には東北・北陸地方で豪雨災害があったことは周知のとおり(当時の報道)。ゆえに集荷の際、ヤマト運輸の担当者から「豪雨災害の影響で遅れるかもしれない」旨の説明があった。

ヤマト運輸のサービスでは、会員登録をしていると、自分が発送し、または受け取るべき荷物のおおまかな状況(位置)がわかる。すなわち、目的の荷物が受取先の営業所に到着しているのか、あるいは配達のために担当者が持ち出しているのか、といったことが把握できるのだ。ところがこの時はいつまで経っても(本来なら実家に到着予定の日の早朝でも)「お荷物をお預かりしました」としか表示されず、集荷を担当する営業所から動いていないように見えたのだった。

結果的に、荷物は予定どおり8日の午前中に実家に着いたのだが、その時まで荷物がどこにあるのかまったく把握できなかった。これは推測にしか過ぎないが、ヤマト運輸の荷物追跡システムが災害等による非常時(例えば輸送ルートが変更になった場合など)には対応できていないのかもしれない。そこで AirTag を思いついたのだった。つまり、AirTag を宅配便で送る荷物の中に忍ばせておくことで、その時々の所在地がわかるのではないか、と考えたのだった。

しかして初めて購入した AirTag、アクティベートといくつかの設定をし、大阪に送り返す荷物の中に入れておいた。25日(木)の発送手続の後、AirTag の位置を確認してみると実家近所の営業所と思しき場所にしばらくあったが、その晩には厚別区の札幌ベースに移っていた。……とここまでは順調に見えたが、その後翌朝になってもその札幌ベースから動く気配がない。そしてその金曜日の晩にまた確認してみると、今度は羽田空港にほど近いヤマト運輸の羽田クロノゲートベースにあった(下記画像)。

AirTag の情報画面

しかしまたここからまったく動かない。予定では土曜日の午後に大阪の自宅に到着するはずなのだが、と訝りつつも AirTag の位置を土曜日の昼頃から確認してみると……自宅の近所にある。どうやら配達担当者が持ち出しているのを捕らえていたようだ。そして無事に予定の時間帯に到着(毎度のことながら、ヤマト運輸のみならず宅配業関係者のみなさんには頭が下がる)。

さて一方の AirTag だが、輸送中の荷物のリアルタイムの位置を把握できたかという点では、少々期待はずれな結果に終わった。上記のとおり、要所要所では位置を確認できたものの、その間の移動の様子はやはりまったくといっていいほどわからない。そこでいま一度 AirTag の仕組みはどのようになっているのだろうかと、Apple のウェブサイトで調べてみると次のような記載がある。

あなたのAirTagは、近くにある「探す」ネットワーク上のデバイスが検知できるように、安全なBluetooth信号を送信します。すると、信号を受け取ったデバイスは、AirTagの位置情報をiCloudに送信。あなたは「探す」アプリを開いてマップ上で確認できるというわけです。このプロセスは完全に匿名で行われ、情報は暗号化されるので、あなたのプライバシーは守られたまま。効率も良いので、バッテリー残量やデータ使用量を心配する必要はありません。

https://www.apple.com/jp/airtag/

なるほど、要は Bluetooth が有効な近距離内(おおむね10m前後まで)に AirTag の情報を処理できるデバイス(iPhone や iPad など。一部 Android 端末も対応しているようだが)が存在しなければならない、ということか。そうなると、運送会社のゲートベースのような拠点でいったんは確認できても、その後何らかの対応デバイスを所持した人が近づきでもしない限り、荷物の所在を認識できないということになるのだ。

そういう次第で、宅配便でやりとりする荷物の追跡に AirTag を活用することは、少なくとも現状では適さないと言えそうだ。では、せっかく一つ購入したこの AirTag、これからどうやって使おうか? まずは、裸のままの AirTag は持ち歩くにしても何かに取り付けるにしても扱いにくいので、キーホルダーにもできるようなケースを Amazon で物色、FREESE(フリーゼ)という革小物ブランドのものを購入してみた。

AirTag を入れた FREESE の革製キーホルダー

さて問題はここからだ。さしあたり普段持ち歩くカバンにこのタグをつけておこうと考えているが、AirTag の機能を十分に利用するにはどのような使い方がよいのだろう? 航空機搭乗で手荷物を預ける際に当該手荷物につけておくというのは想定しやすいが、こちとら飛行機に乗るのはいまや年に一度の帰省のときぐらいしかない。何かもっと有効な利用法を自身でなさっているとか知っているという方には、是非お教えいただきたい。

George Benson “Weekend In London”

投稿者: | 2022-08-26

基本データ

アーティスト:
George Benson
タイトル:
Weekend In London
レーベル:
Provogue
リリース年:
2020年11月13日

レビュー

  • 音質  ★★★★★★★★★☆ (9)
  • 曲目  ★★★★★★★★☆☆ (8)
  • 演奏  ★★★★★★★★★☆ (9)
  • 雰囲気 ★★★★★★★★★★ (10)

ソウル・ジャズのギタリストして、またラヴ・バラードでは甘い歌声を聴かせるブラック・コンテンポラリーのヴォーカリストして、どちらにも名を馳せる George Benson(ジョージ・ベンスン)が、2019年に英国ロンドンの名門 Ronnie Scott’s Jazz Club で行われた公演を録音し、翌年リリースしたライヴ盤である。

ベテランの名演とは、まさに本作のような演奏を言うのだろう。Benson 自身はもちろん、他のミュージシャンも一様にリラックスしているのが音からもよくわかる。それでいてテクニックは確かなのだから、さすがだ。特に Donny Hathaway(ダニー・ハサウェイ)の名曲 “The Ghetto” のカヴァーは、本家のような(12分にも及ぶ)熱量溢れる演奏とはまた異なり、落ち着いた雰囲気ながら聴く者をグイグイと乗せてくるグルーヴがたまらない。

曲目は、上記の “The Ghetto”(Benson はスタジオ盤でもカヴァーしている)を含め Benson のベスト・トラックともいうべき粒揃いの楽曲ばかりだが、彼の長くかつ充実したキャリアからすれば、もっと収録曲があってもいいように思われる。収録時間も全体で1時間15分足らずと、ライヴ盤としてはやや短めだ。そうなると、本作には果たして当日演奏された楽曲のすべてが収められているのか、という疑問が浮かぶ。この点について、さまざまなアーティストのさまざまな公演におけるセットリストを記録した情報共有型ウェブサイト setlist.fm で調べてみると、本作の公演は残念ながら掲載されていないようだが、同時期以降の Benson の公演がいずれも合計1時間30分に満たない程度であることから判ずるに、本作には公演での全楽曲が収められているのだろうと思われる。

さて本作の音質だが、これは素晴らしい。周波数スペクトラムの画像でもわかるように、最低域にピークがあって、最高域までほばまんべんなく音が記録されている。またバランスも非常によい。ダイナミック・レンジもポピュラー音楽としてはそれなりに確保されている。

“Give Me the Night” の WaveSpectra

さらに、観客の雰囲気も十分に捉えられている。本作の公演が行われた Ronnie Scott’s Jazz Club は250人程度収容のクラブだそうだが、その「近い」観客の様子も見えるような録音だ。オーディオ・リファレンスにもよい音源だろう。

Covid-19 が世界的に蔓延する前の、そう大きくない粋なライヴ・ハウスにて、とてもよい雰囲気の中で行われた、熟練による名曲群の名演奏を、最高の音質で収めた名盤。そんな謳い文句でも霞みそうな名「ライヴ盤」が本作だ。